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メデントニュース

2008/10/07(火) 4本のインプラントで全てをという治療法について

最近、歯科医師でもインプラント初学者の間でインプラント4本で全てををいう治療法が流行している。これらの歯科医師が宣伝するので、私どものクリニックにもこの治療法を求めて訪れる患者が増え、治療を実行している。これはNobelbiocare社のAll on Four™かわたしがこれに改変を加えたAstra Four for All™という名称で語られるもののことである。
 本法は歯科医師にとっては手技が比較的簡単、患者さんにとっては比較的廉価で固定性の歯が入るというメリットがある。しかし本法の原型は1970年台にすでに開発されており、治療設計思想としては古いものである。さらに本法の特徴として後方のインプラントを45°程度かみ合わせ平面から傾斜して植えるので、このインプラントのネックの部分には強烈な応力集中点が発生するのは止むを得ない。わたしが改変したAstra Four for All™では比較的この応力集中が緩和されているがそれでもかなりなものである。次に全てというが失われた歯全てを実際は回復するわけではない。大体10本程度の歯を回復する。歯は片顎14本、本来なら存在するので、この点について患者さんにはご了承いただかなくてはならない。また肝心の歯であるが、多くはチタンの削りだしフレーム材に入れ歯用プラスティックを貼り付ける工法を取ることで廉価性を実現している。セラミックなどにする場合はそれなりに価格も高額になるのである。
 本法を検討されている向きにはこのような条件を勘案の上、決断されるようお勧めしたい。伊藤正夫
fig10.jpgfig15.jpg(後方のインプラントにかかる応力の分布)

2008/07/06(日) 歯科学研究所インプラント部会第3回学術集会

学会
7月6日に東京ステーションコンファレンスにて、インプラント治療の最新の治療法、最新の知見と安全性を発信していくことを目的としております歯科学研究所インプラント部会第3回学術集会が行われました。今回は栃木県の渡辺歯科クリニックの渡辺純一先生が会長のもとで、海外からの招待演者のご講演などもいただき盛大のうちに終了しました。
今回は上北沢歯科医院の行田克則先生、敬天堂歯科医院の山下詠子先生、インペリオクリニックの新福知子先生、心理セラピストの水木さとみ先生、そしてペンシルバニア大学歯周病学主任教授のDr.Fiorelliniにご講演いただきました。
常にアンテナを立てておくことは大事でありますが、新しい治療の方法や知識、アプローチと様々な観点から学ぶことができたかと思います。
写真はBMPやPDGFなどを使用した興味深い新たな治療方法を話していただいたFiorellini教授です。
1153.jpg

2008/06/18(水) 下唇やオトガイの痺れ

最近、インプラント治療に伴なって下唇からオトガイにかけて痺れが発生する人が増えています。インプラントの普及によって母集団が増えたせいももちろんあります。どうしてこのようなことが発生するかというと、下顎には下歯槽管という硬い骨で囲まれた管状の構造物があって、この中に下歯槽動静脈と下歯槽神経が走行しています。これらの終枝は下顎の前の方まで行っていますが、途中で分岐して骨の外に出て下唇やオトガイに行っています。だからインプラントを植えるときにドリルの先端がこの下歯槽管を破って、中の神経を損傷すると下口唇からオトガイにかけて片側性の麻痺が出ます。どうして歯科医師が下歯槽管を破ってしまうかというと、下歯槽管の下面の皮質骨は非常に硬くて認識しやすいのですが、上面は下歯槽管から上方に分岐がたくさん出るために、比較的柔らかいのです。そこでドリルの先端で損傷しやすいわけです。ところがドリルを例えば手のひらに当てて回転させても皮膚は傷つきません。すなわちインプラントに用いるドリルは血管や神経を切断してしまうような破壊力はありません。このような損傷は管が切れてしまっているのではなく坐滅された状態になっているのです。もしもインプラントが下歯槽管内の組織を圧迫しているようであれば、すぐに抜いてより短い物に替えたほうが無難です。
 しかし、まったく唇などが何も感じないとおっしゃる方でも注射針を刺してみると痛がります。つまりこの症状は麻痺感であって、完全な知覚麻痺ではありません。神経組織の治癒には時間がかかります。通常1年から2年くらい必要です。その間は星状神経節ブロックやレーザーを照射します。これは神経組織の血液栄養を豊富にして治癒を促進するために行われます。大半のケースが治癒しますので、あきらめないで根気良くレーザー治療などに通ってください。
 それではこのようなトラブルの予防はどうしたらいいでしょうか?下歯槽管損傷はどなたでもリスクを抱えているわけではありません。多くは歯周病の歯をほとんど自然脱落まで残した場合に、その過程で歯を支える歯槽骨は下歯槽管に近接したところまで溶けてなってしまうのです。そうなるとインプラント治療は極度に難しくなり、十分な注意を払っても損傷リスクが高くなります。これを回避するためにはこのような人は、最初に当該部位に自家骨移植を受けて、歯槽骨の回復を行ってからインプラント植立を受けるべきなのです。自家骨移植は比較的大きな手術なので、遂行できる歯科医師はごく少数です。「インプラントやってます」とは別の次元の手術になります。また患者さんもそのような大きな手術を受けるのはとしり込みされる方もいらっしゃるでしょう。しかしトラブルが回避できるだけでなく長年にわたって快適な食生活が送れるとなれば、80歳台の方でもそれに価値を感じて、多くの方が治療を受けておられます。メデントでは自家骨移植は静脈麻酔下日帰り手術で受けることができます。 伊藤正夫