▼ 2008/06/18(水) 下唇やオトガイの痺れ
最近、インプラント治療に伴なって下唇からオトガイにかけて痺れが発生する人が増えています。インプラントの普及によって母集団が増えたせいももちろんあります。どうしてこのようなことが発生するかというと、下顎には下歯槽管という硬い骨で囲まれた管状の構造物があって、この中に下歯槽動静脈と下歯槽神経が走行しています。これらの終枝は下顎の前の方まで行っていますが、途中で分岐して骨の外に出て下唇やオトガイに行っています。だからインプラントを植えるときにドリルの先端がこの下歯槽管を破って、中の神経を損傷すると下口唇からオトガイにかけて片側性の麻痺が出ます。どうして歯科医師が下歯槽管を破ってしまうかというと、下歯槽管の下面の皮質骨は非常に硬くて認識しやすいのですが、上面は下歯槽管から上方に分岐がたくさん出るために、比較的柔らかいのです。そこでドリルの先端で損傷しやすいわけです。ところがドリルを例えば手のひらに当てて回転させても皮膚は傷つきません。すなわちインプラントに用いるドリルは血管や神経を切断してしまうような破壊力はありません。このような損傷は管が切れてしまっているのではなく坐滅された状態になっているのです。もしもインプラントが下歯槽管内の組織を圧迫しているようであれば、すぐに抜いてより短い物に替えたほうが無難です。
しかし、まったく唇などが何も感じないとおっしゃる方でも注射針を刺してみると痛がります。つまりこの症状は麻痺感であって、完全な知覚麻痺ではありません。神経組織の治癒には時間がかかります。通常1年から2年くらい必要です。その間は星状神経節ブロックやレーザーを照射します。これは神経組織の血液栄養を豊富にして治癒を促進するために行われます。大半のケースが治癒しますので、あきらめないで根気良くレーザー治療などに通ってください。
それではこのようなトラブルの予防はどうしたらいいでしょうか?下歯槽管損傷はどなたでもリスクを抱えているわけではありません。多くは歯周病の歯をほとんど自然脱落まで残した場合に、その過程で歯を支える歯槽骨は下歯槽管に近接したところまで溶けてなってしまうのです。そうなるとインプラント治療は極度に難しくなり、十分な注意を払っても損傷リスクが高くなります。これを回避するためにはこのような人は、最初に当該部位に自家骨移植を受けて、歯槽骨の回復を行ってからインプラント植立を受けるべきなのです。自家骨移植は比較的大きな手術なので、遂行できる歯科医師はごく少数です。「インプラントやってます」とは別の次元の手術になります。また患者さんもそのような大きな手術を受けるのはとしり込みされる方もいらっしゃるでしょう。しかしトラブルが回避できるだけでなく長年にわたって快適な食生活が送れるとなれば、80歳台の方でもそれに価値を感じて、多くの方が治療を受けておられます。メデントでは自家骨移植は静脈麻酔下日帰り手術で受けることができます。 伊藤正夫
しかし、まったく唇などが何も感じないとおっしゃる方でも注射針を刺してみると痛がります。つまりこの症状は麻痺感であって、完全な知覚麻痺ではありません。神経組織の治癒には時間がかかります。通常1年から2年くらい必要です。その間は星状神経節ブロックやレーザーを照射します。これは神経組織の血液栄養を豊富にして治癒を促進するために行われます。大半のケースが治癒しますので、あきらめないで根気良くレーザー治療などに通ってください。
それではこのようなトラブルの予防はどうしたらいいでしょうか?下歯槽管損傷はどなたでもリスクを抱えているわけではありません。多くは歯周病の歯をほとんど自然脱落まで残した場合に、その過程で歯を支える歯槽骨は下歯槽管に近接したところまで溶けてなってしまうのです。そうなるとインプラント治療は極度に難しくなり、十分な注意を払っても損傷リスクが高くなります。これを回避するためにはこのような人は、最初に当該部位に自家骨移植を受けて、歯槽骨の回復を行ってからインプラント植立を受けるべきなのです。自家骨移植は比較的大きな手術なので、遂行できる歯科医師はごく少数です。「インプラントやってます」とは別の次元の手術になります。また患者さんもそのような大きな手術を受けるのはとしり込みされる方もいらっしゃるでしょう。しかしトラブルが回避できるだけでなく長年にわたって快適な食生活が送れるとなれば、80歳台の方でもそれに価値を感じて、多くの方が治療を受けておられます。メデントでは自家骨移植は静脈麻酔下日帰り手術で受けることができます。 伊藤正夫
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