インプラント治療

さまざまな治療法

インプラントは、顎の骨に純チタン製の人工歯根を植立し、それを基に人工の歯冠を作っていくという歯の再建法です。
ですから、強度を確保するためには、インプラントを植立する歯槽骨に一定の厚み(幅・高さとも)が必要です。
抜歯後時間の経過が経過しているなど、ケースによっては歯槽骨が少ない場合があり、そのときはインプラント植立にさきだって何らかの方法で骨を補うことが必要です。

歯槽堤拡大術=サイトダイレーティング

歯が抜けると歯槽骨が萎縮して薄くなってしまいます。厚さ4mmくらいまでになってしまうと、直径が4mm前後あるインプラントは、顎の骨に収まりきらなくなってしまいます。そんなときに用いるのが歯槽堤拡大術です。
まず直径2.0から2.5mm程度の細いドリルで竪穴を掘ります。その穴に、先端が丸い円柱形のダイレーターと呼ばれる棒を押し込んでいきます。棒は直径が細いものから太いものまであって、それを細いものから順に押し込んでいくことによって、顎の歯槽骨がゆっくり拡大していくというわけです。この棒の代わりに、ネジ状の器具をやはり細いものから順に太いものに代えながら拡大していく場合もあります。最後に、穴がインプラントを植立するのに十分な直径になったらインプラントを植え込みます。
これをサイトダイレーティングといい、顎の骨が薄い人に対する対処法としては初歩的なものです。

サイトダイレーティング(歯槽提拡大術)

サイトダイレーティング(歯槽提拡大術)

歯槽堤分割術=スプリットクレスト

顎の骨が幅3oくらいまで薄くなってしまうと、歯槽堤拡大術では対応できません。そんなときに用いる方法が歯槽堤分割術です。上顎の前歯の部分に用いられるケースが多い方法です。
上顎の前歯は顎の骨の真ん中に立っているわけでなく極端に前方に位置します。したがって上顎の前歯が抜かれるとその唇側にある骨は紙のように薄いので、あっという間に溶けてしまいます。そうなると残る骨は本来あった歯の内側を支えていた骨でアルプス山脈のように切り立っているのです。とくに女性では身体のつくりが華奢にできているので顎の骨も薄いのです。ですから、少しでも骨の萎縮が起きると、インプラントの植立はきわめて困難です。
歯槽堤分割術はこうしたケースでも、インプラントの植立を可能にする方法なのです。
顎の骨の中でも、かつて自分の歯が植わっていて、今、新たにインプラントを植立しようとする部分を歯槽骨といいますが、歯槽骨が非常に薄く、剣の刃のようにとがった状態の場合は、一般歯科医ではそこで手術を中止せざるをえません。なぜならインプラントが固定できないからです。
歯槽堤分割術ではこのような薄い骨を二枚に割って、その二枚の骨の間に、サンドイッチ上にはさみ込むようにしてインプラントを植立する方法で、きわめて高度でかつ精緻な技術を要求されます。メデントグループでもこの手術を行う場合は、ルーペで視野を三倍拡大にして行っています。
二枚に割るときは、ごく薄いノミから厚いノミまで5〜6種類のノミを使い分けながら、骨折させないように細心の注意を払います。そして、植立したインプラントの周囲や二枚の骨の間に自家骨(患者さん自身の骨)かカルシウムの結晶を詰め込みます。六カ月程度でこれらの隙間は骨に代わり、インプラントもしっかり結合して、噛み合せの圧に耐えるようになりますから、上部構造(人工歯)の作製、固定に入ります。

スプリットクレスト(歯槽堤分割術)

スプリットクレスト(歯槽堤分割術)

サイナスインパクション

上顎の中は空洞になっていて、内部は粘膜で覆われ、鼻腔とつながっています。これを上顎洞と呼びます。歯周病の進行、あるいは長期にわたる入れ歯の使用などにより、歯槽骨が著しく吸収(歯槽骨の厚みが少なくなる)してしまうと、上顎洞までの距離が短く、インプラントを植立するのに十分な長さが取れないことになります。
 このようなときに適用されるのが、上顎洞底挙上術という手術です。歯槽骨のてっぺんから上顎洞底までの距離が5mm程度の場合、インプラントを植立するとインプラントの先端が上顎洞内に飛び出てしまうため、サイナスインパクションという手法を用いて、骨環境を整えます。
 手術では、まず上顎洞のところまで慎重にドリルを進めて、ドリルホールの底に上顎洞底の骨が薄く存在している状態にします。そこから上顎洞底に微細振動を与えて、薄い上顎洞底の骨を骨折させて上に持ち上げます。
そうすると、上顎洞底の骨は粘膜と一体となりながら、はがれて上に持ち上がっていきます。その後、開けたホールにインプラントを植立します。これがサイナスインパクションという特殊な技法です。 インプラント植立後は、約8ヵ月間骨の再生を待ち、その後人工歯を固定します。 類似の方法にオステオトームテクニックという方法があります。

サイナスインパクション

サイナスインパクション

ウインドウテクニック

ウインドウテクニックは、上顎洞底までの距離が極端に少ない場合に用いられる手法です。 まず、図のように上顎洞の壁の骨を、楕円形にくり抜きます。そして上顎洞底の粘膜を慎重に剥離しながら、次第に空洞内部の上方に持ち上げていきます。持ち上げられた粘膜と上顎洞底の骨の間には空隙ができますから、そこに自家骨やカルシウムの結晶を詰めて8カ月くらいかけて、この部分を骨化させる手法です。 この手術と同時にインプラントを植立する場合と、約8カ月後に骨化してからインプラントを植立する場合があります。いずれにしてもこの部分がきれいに骨化すると、かみ合わせの圧に十分耐えることができますから、人工歯(インプラント上部構造)を固定することができます。

ウィンドウテクニック

ウィンドウテクニック

骨誘導再生法=ガイデッド・ボーン・リジェネレーション=GBR

インプラントを植立するためには、上下の噛み合う面に対して垂直方向と水平方向の双方に十分な顎の骨の量が必要です。しかし歯周炎などの理由によって抜歯される歯の場合、周囲骨は吸収して溶けているケースが大半です。
このようなケースで顎の骨のボリュームを増加させるために用いられるのが、骨誘導再生法という方法です。 手術では、まずインプラントを植立します。そうするとインプラントの一部が骨の外に露出するため、その露出した骨の面から、ごく小さいかんなのような器具で骨の表面をかきとり少量の骨を顎の表面から採取します。
この、患者さん自身の骨とカルシウムの結晶を混合し、露出したインプラント面に置きます。この際、露出面が大きい場合は、その上からゴアテックス、チタン、コラーゲンなどの膜で覆うことがあります。6ヵ月ほど経過すると、そこに患者さん自身の骨の組織が誘導される(骨ができる)ので、インプラントはしっかり固定されます。
また、抜歯した穴に、その日のうちにインプラントを植立するような場合は、抜歯した穴とインプラントの形状は適合しないので、間隙に骨を誘導するためにもこの方法を用いることがあります。

GBR

GBR

仮骨延長術=ディストラクション・オッセオジェネシス

これは垂直的に歯槽骨の吸収を起こしている場合に用いる方法で、上顎、下顎どちらにも適応されます。歯槽骨の垂直方向の長さが足りない場合や歯肉がへこんでしまっている場合に用いられます。歯槽骨をストレッチして、歯槽骨と歯肉を延ばす方法なのです。まず延ばしたい部分の歯槽骨を区画化して分割します。そして、基底部の骨と区画化した骨の両方に純チタン製の骨延長器を取り付けます。
この骨延長器を使って、毎日来院してもらい、一日1oくらいのスピードで延ばしていきます。そうすると延長した部分に新しい骨と歯肉が再生するという原理なのです。骨延長器は口の中から操作できるように一部が粘膜上に出ています。10o以上延長することが可能です。延長後は3カ月ほど固定し、骨の成熟化を待って、インプラントを植立します。骨延長器は取り外します。

ディストラクション・オッセオジェネシス

仮骨延長法

下歯槽管側方移動術

下顎に骨吸収が生じている場合、そのままではインプラントを植立することはできません。下顎には下歯槽管という管が通っていて、その中には太い血管や神経が入っています。
何らかの理由で下顎の歯を失って、長期間放置したままであったり、あるいは歯周病などで病的骨吸収が生じると、インプラントを立てるべき歯槽骨を失い、下歯槽管がじゃまして、インプラントを植立できなくなります。その場合は下歯槽管に沿って、横方向の骨を取り除き、中の血管と神経を露出させます。それらを管から慎重に剥離して管から取り出して、いったん横によけておきます。
こうすることで、インプラント植立を妨げるものはなくなりますから、普通にインプラント植立術を行います。そして血管と神経をもとに戻しておくのです。これを下歯槽管側方移動術といいます。熟練したテクニックが要求される技法です。

下歯槽管側方移動術

下歯槽管側方移動術
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遊離骨移植術=ブロック・ボーン・グラフト

遊離骨移植は、顎の骨が非常に大きく溶けてしまって、薄い、あるいは低い、貧弱な歯槽骨しかない人に用いられる手法で、骨再生のためのもっとも強力な手段です。
移植する骨はオトガイや下顎の後方、腸骨(腰骨)、頸骨(足の骨)、頭頂骨から採取することができます。
移植骨のとがったところを丸く形成して、骨の量が足りないところに持って行き、細いチタン製のネジで固定します。 約四カ月後にネジを取って、インプラントを植立します。骨のないところに骨を作る最も直接的な方法で、 いずれの部位からの採骨、移植であっても、メデントでは入院の必要はありません。

遊離骨移植術

遊離骨移植術
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